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労災で頚椎(首)を損傷(骨折やヘルニアなど)した場合の対応と補償について弁護士が解説

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1 頚椎を損傷する労働災害

業務中の事故により、首に強い衝撃を受け、頚椎を損傷してしまうケースは後を絶ちません。

頚椎損傷には、頚椎捻挫、頚椎椎間板ヘルニア、頚椎骨折、頚部脊柱管狭窄症、脊髄損傷などがありますが、頚椎捻挫(むちうち)のような比較的軽微なものから、脊髄損傷を伴う重篤なものまで様々です。重度の場合には、その後の生活に大きな影響を及ぼす可能性があります。

頚椎損傷が発生する事案として、例えば、以下のようなケースがあります。

① 墜落・転落事故

高所からの墜落や、脚立・階段からの転落時に、頭部や首を強打する。

② 転倒事故

床の油や水、障害物などにより足を滑らせて転倒し、首をひねったり、地面に打ち付けたりする。

③ 交通事故(業務中の移動など)

社用車での移動中や、業務のための私有車運転中の追突事故などで、むちうち(頚椎捻挫)や、より重篤な頚椎骨折・脱臼などを負う。

④ 重量物の取り扱い・重量物の倒れ込み

重量物を持ち上げようとした際や、パネルなどの運搬中にバランスを崩した際に、重量物が倒れかかるなどし、首に過度な負荷がかかる。

⑤ 機械への巻き込まれ・挟まれ事故

機械の操作中に、首や頭部が機械に巻き込まれたり、挟まれたりする。

⑥ 飛来・落下物による事故

工事現場などで、上方から物が落下し、頭部や首に直撃する。

2 頚椎を損傷した場合、認定される可能性のある後遺障害等級とは?

頚椎損傷によって生じる可能性のある後遺障害は多岐にわたります。その症状や程度に応じて、以下のような後遺障害等級に該当する可能性があります。

【神経系統の機能又は精神の障害】

・局部に神経症状を残すもの(第14級9号)

いわゆる「むちうち」と言われるもので、首の痛み、肩こり、頭痛、上肢のしびれ等が残存し、その症状の存在が医学的に説明可能な場合です。画像所見(レントゲンやMRIなど)で明らかな異常がなくても、神経学的検査の結果や治療経過などから症状の存在が医学的に説明できれば認定される可能性があります。

・局部に頑固な神経症状を残すもの(第12級13号)

第14級9号よりも症状が重く、かつ、MRI等の画像や神経学的検査(深部腱反射テスト、筋萎縮検査、知覚検査など)によって、その症状の存在が医学的に証明できる場合です。例えば、頚椎椎間板ヘルニアや骨棘による神経根圧迫所見が画像で確認できる場合などが該当します。

【より重度な神経症状】

・脊髄症状のため、生命維持に必要な身のまわり処理の動作について、常に他人の介護を要するもの(第1級1号など、脊髄損傷の程度による)

頚髄損傷により、四肢麻痺(両手両足の麻痺)や体幹機能障害が生じ、食事、入浴、排泄、更衣などの日常生活動作が著しく困難で、常時介護が必要な状態です。最も重い等級です。

・脊髄症状のため、生命維持に必要な身のまわり処理の動作について、随時介護を要するもの(第2級1号など)

常時ではないものの、食事、入浴、排泄などの際に随時介護が必要な状態です。

・脊髄症状のため、労働能力を完全に喪失したもの(第3級3号、第5級2号、第7級4号、第9級10号など、麻痺の範囲や程度による)

麻痺の範囲(片麻痺、対麻痺、四肢麻痺など)や程度(完全麻痺、不全麻痺)により、労働能力が完全に失われたと判断される場合です。

【せき柱及びその他の体幹骨の変形又は運動障害】

・せき柱に著しい変形又は運動障害を残すもの(第6級5号)

頚椎の圧迫骨折などにより、著しい変形(レントゲン写真などで確認できる前方または側方への弯曲、あるいは後弯)が生じたり、首の可動域が参考可動域の1/2以下に制限されたりした場合です。

・せき柱に運動障害を残すもの(第8級2号)

頚椎の可動域が参考可動域の1/2以下に制限された、または、頚椎の可動域が参考可動域の3/4以下に制限され、かつ、頚椎に中程度の変形を残す場合です。

・せき柱に変形を残すもの(第11級7号)

頚椎の圧迫骨折などにより、変形が残存した場合(レントゲン写真などで確認できるもの)、または、頚椎の固定術が行われた場合です。

適切な後遺障害等級を獲得することの重要性>>>

3 労災保険とは?

業務中の事故により、頚椎を損傷した場合、まずは労災保険を申請すべきです。

ここでは、労災保険の仕組み、労災が認定される要件、労災給付の申請方法、そして、後遺障害等級認定の流れを説明します。
これらを正しく理解し、適切な等級を獲得することが、将来の補償額に大きく影響します。

(1)労災保険の概要

「労働者災害補償保険法」という法律の第1条は、次のように規定しています。

「労働者災害補償保険は、業務上の事由、(中略)又は通勤による労働者の負傷、疾病、障害、死亡等に対して迅速かつ公正な保護をするため、必要な保険給付を行い、あわせて、業務上の事由、(中略)又は通勤により負傷し、又は疾病にかかった労働者の社会復帰の促進、当該労働者及びその遺族の援護、労働者の安全及び衛生の確保等を図り、もつて労働者の福祉の増進に寄与することを目的とする。」

このように、労災保険は、労働者が仕事中(通勤途中も含みます。)にケガをしたり、病気になったとき、お亡くなりになったときに、必要な補償を受けられるようにして、被災した労働者や亡くなった場合のご遺族の生活を守る制度です。

そのため、原則としてすべての事業主に加入義務があります(中小零細企業を含む)。
そして、労働災害が発生したときには、労働基準監督署に対し、労災保険給付を申請することになります。

(2)労災認定の要件(業務遂行性・業務起因性)

業務中に発生した事故が労災として認められるためには、「業務遂行性」と「業務起因性」という2点がポイントになります。

「業務遂行性」とは、労働者が事業主の支配ないし管理下にある中で起きた事故である、ということを言います。

例えば、工場で大きな機械を操作する際に、操作ミスにより手が機械に巻き込まれてしまい、切断したということであれば、業務遂行性は認められることになると判断されます。

「業務起因性」とは、業務に伴う危険が現実化したこと、つまり、業務と結果(ケガや病気、死亡)の間に因果関係があることを言います。

工場内において、機械を操作している際の事故であれば、一般的には業務起因性は認められやすい傾向にあります。

(3)労災給付の種類と申請方法

給付の内容に応じて、労働基準監督署へ給付申請を行うことになります。

申請後、労働基準監督署の判断を経て、支給の決定がなされれば、給付を受けることができます。

【給付の内容の例】

① 療養(補償)給付

労災病院や労災指定病院等を受診・治療する場合には、当該病院に「療養(補償)給付たる療養の給付請求書」を提出し、請求します。

それ以外の医療機関を利用して受診・治療した場合には、費用を立て替えた上で、労働基準監督署に「療養(補償)給付たる療養の費用請求書」を提出し、請求します。

例えば、治療費や薬代、器具の費用、施術費用などが給付の対象になります。

② 休業(補償)給付

労働基準監督署に「休業(補償)給付支給請求書」を提出し、請求します。

③ 障害(補償)給付(後遺障害はこれです。)

労働基準監督署に「障害(補償)給付支給請求書」を提出し、請求します。

(4)後遺障害等級認定の流れ

「後遺障害等級の認定」とは、労働災害によって負ったケガや病気が治った後も、身体等に一定の障害(後遺障害)が残ってしまった場合に、その障害の程度について、労働基準監督署が認定する制度です。

認定までの流れとしては、以下の通りです。

① 症状固定(治療を続けてもこれ以上の改善が見込めない段階)
② 後遺障害診断書の作成(医師により作成)
③ 労働基準監督署に対して申請
④ 労働基準監督署による審査
⑤ 等級の認定

(5)適切な等級を獲得する重要性

労働基準監督署により後遺障害等級が認定されると、1~7級については障害補償年金、8~14級については障害補償一時金が支給されます。

会社に損害賠償を請求する場合、この等級に応じて請求することになります。等級が重ければ重いほど、会社に対する損害賠償の金額は大きくなります。

つまり、会社に対して適切な金額の損害賠償を行うためには、適切な等級認定を獲得する必要があります。

(6)適切な等級を獲得するには?

当事務所では、適切な後遺障害等級を獲得するため、等級認定サポートを行っております。

適切な等級認定を獲得したいとお考えの方は、お気軽にお電話ください。【03-6277-8802

4 労災保険だけでは不十分な損害とは?

以上のように、労災保険は労働災害に被災した労働者に補償を支給しますが、被災者が被った損害を100%補填するものではありません。

例えば、痛い思いをし、また将来にわたって後遺障害が残ることに対する精神的損害(慰謝料)については、労災保険からは支給されません。
これを求めるのが、会社に対する損害賠償ということになります。

5 会社に対する損害賠償請求

労災保険による補償とは別に、会社に損害賠償請求できる場合があります。
ここでは、この会社に対する損害賠償を解説します。

(1)何が請求できるか?

典型的には、後遺障害慰謝料と逸失利益が考えられます(その他に、傷害慰謝料や休業補償の未補償分等々がありますが、ここでは割愛します。)。

後遺障害慰謝料とは、後遺障害が残ったことによる精神的損害に対する慰謝料です。

逸失利益とは、後遺障害が残ったことにより生じた「労働能力喪失」の分、将来獲得することができなくなった収入を意味します。

(2)どのような場合に会社に損害賠償を請求できるのか?(要件)

労災事故により、頚椎を損傷した場合、常に、会社に損害賠償請求ができるというわけではありません。
一定の要件が必要となります。

一つは、安全配慮義務違反を理由とする債務不履行に基づく損害賠償です。

会社には、「労働者が安全かつ健康に働くことができるように配慮する義務」という安全配慮義務があります。この安全配慮義務を実践していないことを理由として損害賠償を行えるかを検討する必要があります。

もう一つは、不法行為に基づく損害賠償です。

例えば、会社の同僚が過失により被災者に危害を加え頚椎の損傷が生じた場合等は、会社はその使用者責任を負う可能性があります。

会社に対する損害賠償について詳しく知りたい方はこちら>>>

6 弁護士に依頼するメリット

会社に対する損害賠償請求は、そもそも請求しうるのか、幾ら請求できるのかという判断から、実際にその請求を行う示談交渉・訴訟遂行という極めて専門的な知見が必要となります。

ぜひ、専門家である弁護士にご相談ください。

7 労働災害に遭ってしまった際は、ぜひ当事務所へご相談ください。

労災事故において、頚椎を損傷するような事故に遭ってしまった場合には、生活に大きな影響が生じる可能性があります。
そこで、適正な後遺障害認定を受けなければなりません。
また、会社に対して損害賠償請求をすることができる可能性もあります。

福崎法律事務所では、後遺障害認定、会社への損害賠償請求について、豊富な経験と実績がございます。ご相談者様のお話を丁寧にお伺いし、最善の解決策をご提案いたします。

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