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高次脳機能障害について

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業務中の事故などで頭部に衝撃を受け、「集中力が続かない」「物忘れが増えた」といった症状に悩まされていませんか?

これらの症状は「高次脳機能障害」に該当する可能性があります。

本記事では、弁護士が高次脳機能障害と労災保険の関係、後遺障害等級認定の基準、損害賠償請求のポイントをわかりやすく解説します。

1 高次脳機能障害と労災保険

(1)頭部に衝撃を受けたという「事故」に遭った結果、集中力が落ちるとか、物忘れをしやすくなったといった症状が生じる場合があります。

この事故が、業務遂行性(仕事中の事故であること)、業務起因性(仕事が原因で起きたこと)という、労災認定に必要な要件を満たしている場合は、労災保険から後遺障害等級認定を受けられる可能性があります。

より詳しく解説いたします。

(2)労災認定の要件(業務遂行性・業務起因性)

業務中に発生した事故が労災として認められるためには、「業務遂行性」と「業務起因性」という2点がポイントになります。

「業務遂行性」とは、労働者が事業主の支配ないし管理下にある中で起きた事故である、ということを言います。例えば、工場で大きな機械を操作する際に、頭部に衝撃を受けたという場合です。

「業務起因性」とは、業務に伴う危険が現実化したこと、つまり、業務と結果(高次脳機能障害)の間に因果関係があることを言います。工場内において、機械を作業している際の事故であれば、一般的には業務起因性は認められやすいと思われます。

2 高次脳機能障害とは

高次脳機能障害とは、ケガや病気により、脳に損傷を負い、その結果、例えば次のような症状が出て、日常生活または社会生活に制約がある状態をいいます。

① 記憶障害

例)物の置き場所を忘れる。新しいできごとを覚えられない。同じことを繰り返し質問する。

② 注意障害

例)ぼんやりしていて、ミスが多い。ふたつのことを同時に行うと混乱する。作業を長く続けられない。

③ 遂行機能障害

例)自分で計画を立ててものごとを実行することができない。人に指示してもらわないと何もできない。約束の時間に間に合わない。

④ 社会的行動障害

例)興奮する、暴力を振るう。思い通りにならないと、大声を出す。自己中心的になる。

3 高次脳機能障害の後遺障害認定

(1)後遺障害認定とは

高次脳機能障害が、①業務遂行性、②業務起因性の要件を満たす場合、労災認定を受けて、労災保険の給付を受けながら治療に専念することになります。
治療を継続することによって、症状が完治すればよいですが、治療を継続したとしても、それ以上改善が見られないことがあります。

このように、医学的にみてこれ以上治療をしても症状が改善できない状態のことを「症状固定」といいます。症状固定時点で障害が残っている場合には、障害等級認定の申請をすることが可能です。

障害等級認定の申請をした結果、後遺障害等級認定を受けることができれば、労災保険から障害(補償)給付を受けることができます。

障害(補償)給付とは、症状固定後に障害が残った場合に、認定された障害等級に応じて、年金または一時金の支給を受けることができる制度のことをいいます。

(2)高次脳機能障害の等級について

高次脳機能障害と診断された場合には、どのような障害等級認定を受けることができるのでしょうか。以下では、障害等級に応じた給付金と高次脳機能障害の認定基準について説明します。

ア 症状の程度に応じて受け取ることができる給付が変わります。

労災事故によって高次脳機能障害と診断された場合には、症状の程度によって障害等級が変化し、重い症状になれば、労災保険から受け取ることができる給付も手厚いものになります。

後遺障害等級が第1級から第7級に該当する場合には、障害(補償)年金、障害特別支給金、障害特別年金が支給され、第8級から第14級に該当する場合には、障害(補償)一時金、障害特別支給金、障害特別一時金が支給されます。

イ 高次脳機能障害の認定基準

高次脳機能障害の等級認定は、以下のような認定基準に従って判断されることになります。

具体的には、介護が必要な状況かどうかを判断し、常時介護が必要な場合には第1級、随時介護が必要な状態であれば第2級といった具合です。

介護が必要でない場合でも、意思疎通能力(記銘・記憶力、認知力、言語力など)、問題解決能力(理解力、判断力など)、作業負荷に対する持続力・持久力、社会行動能力(協調性など)といった4能力についてどの程度の支障が生じているかを判断します。

以下、具体的に見てみます。

① 第1級3号

高次脳機能障害のため、生命維持に必要な身のまわり処理の動作について、常に他人の介護を要するものであって、以下のいずれかに該当するもの

・重篤な高次脳機能障害のため、食事・入浴・用便・更衣等に常時介護を要するもの
・高次脳機能障害による高度の認知症や情意の荒廃があるため、常時監視を要するもの

② 第2級2号の2

高次脳機能障害のため、生命維持に必要な身のまわり処理の動作について、随時介護を要するものであって、以下のいずれかに該当するもの

・重篤な高次脳機能障害のため、食事・入浴・用便・更衣等に随時介護を要するもの
・高次脳機能障害による認知症、情意の障害、幻覚、妄想、頻回の発作性意識障害等のため随時他人による監視を必要とするもの
・重篤な高次脳機能障害のため自宅内の日常生活動作は一応できるが、1人で外出することなどが困難であり、外出の際には他人の介護を必要とするため、随時他人の介護を必要とするもの

③ 第3級3号

生命維持に必要な身のまわり処理の動作は可能であるが、高次脳機能障害のため、労務に服することができないもので、以下のいずれかに該当するもの

・4能力のいずれか1つ以上の能力が全部失われているもの
・4能力のいずれか2つ以上の能力の大部分が失われているもの

④ 第5級1号の2

高次脳機能障害のため、きわめて軽易な労務のほか服することができないもので、以下のいずれかに該当するもの

・4能力のいずれか1つ以上の能力の大部分が失われているもの
・4能力のいずれか2つ以上の能力の半分程度が失われているもの

⑤ 第7級3号

高次脳機能障害のため、軽易な労務にしか服することができないもので、以下のいずれかに該当するもの

・4能力のいずれか1つ以上の能力の半分程度が失われているもの
・4能力のいずれか2つ以上の能力の相当程度が失われているもの

⑥ 第9級7号の2

通常の労務に服することはできるが、高次脳機能障害のため、社会通念上、その就労可能な職種の範囲が相当な程度に制限されるものであって、高次脳機能障害のため4能力のいずれか1つ以上の能力の相当程度が失われているもの

⑦ 第12級12号

通常の労務に服することはできるが、高次脳機能障害のため、多少の障害を残すものであって、4能力のいずれか1つ以上の能力が多少失われているもの

⑧ 第14級9号

通常の労務に服することはできるが、高次脳機能障害のため、軽微な障害を残すものであって、MRI、CTなどによる他覚的所見は認められないものの、脳損傷があることが医学的に見て合理的に推測でき、高次脳機能障害のためわずかな能力喪失が認められるもの

(3)適切な等級を獲得するには?

当事務所では、適切な後遺障害等級を獲得するため、等級認定サポートを行っております。

適切な等級認定を獲得したいとお考えの方は、ご遠慮なくお電話ください。
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4 会社に対する損害賠償請求

労災保険による補償とは別に、会社に損害賠償請求できる場合があります。

ここでは、この会社に対する損害賠償を解説します。

(1)何が請求できるか?

典型的には、後遺障害慰謝料と逸失利益が考えられます(その他に、傷害慰謝料や休業補償の未補償分等々がありますが、ここでは割愛します。)。

後遺障害慰謝料とは、後遺障害が残ったことによる精神的損害に対する慰謝料です。

逸失利益とは、後遺障害が残ったことにより生じた「労働能力喪失」の分、将来獲得することができなくなった収入を意味します。
例えば、冒頭で紹介した「機能障害」の等級に対応する慰謝料と労働能力喪失率は、以下のとおりです。

第1級3号
神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの
慰謝料2800万円
労働能力喪失率100%
第2級2号の2
神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの
慰謝料2370万円
労働能力喪失率100%
第3級3号
神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの
慰謝料1990万円
労働能力喪失率100%
第5級1号の2
神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの
慰謝料1400万円
労働能力喪失率79%
第7級3号
神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの
慰謝料1000万円
労働能力喪失率56%
第9級7号の2
神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの
慰謝料690万円
労働能力喪失率35%
第12級12号
局部にがん固な神経症状を残すもの
慰謝料290万円
労働能力喪失率14%
第14級9号
局部に神経症状を残すもの
慰謝料110万円
労働能力喪失率5%

(2)どのような場合に会社に損害賠償を請求できるのか?(要件)

労災事故により、高次脳機能障害が残った場合、常に、会社に損害賠償請求ができるというわけではありません。

一定の要件が必要となります。

一つは、安全配慮義務違反を理由とする債務不履行に基づく損害賠償です。会社には、「労働者が安全かつ健康に働くことができるように配慮する義務」という安全配慮義務があります。この安全配慮義務を実践していないことを理由として損害賠償を行えるかを検討する必要があります。

もう一つは、不法行為に基づく損害賠償です。例えば、会社の同僚が過失により頭部に衝撃が加わり、高次脳機能障害が残った場合等は、会社はその使用者責任を負う可能性があります。

(3)専門家へご相談を

会社に対する損害賠償請求は、そもそも請求しうるのか、幾ら請求できるのかという判断から、実際にその請求を行う示談交渉・訴訟遂行という極めて専門的な知見が必要となります。

ぜひ、専門家である弁護士にご相談ください。

5 労働災害に遭ってしまった際は、ぜひ当事務所へご相談ください。

労災事故において、高次脳機能障害を負ってしまった場合には、生活に大きな影響が生じる可能性があります。
そこで、適正な後遺障害認定を受けなければなりません。
また、会社に対して損害賠償請求をすることができる可能性もあります。

福崎法律事務所では、後遺障害認定、会社への損害賠償請求について、豊富な経験と実績がございます。ご相談者様のお話を丁寧にお伺いし、最善の解決策をご提案いたします。

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