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介護施設等の社会福祉施設でケガをされた職員の方へ

社会福祉施設の労災の特徴

件数は約10%増加

介護業界は、身体的に負担の伴う作業がありますし、労働者の高齢化も進んでいることから、他の業界よりも労働災害が発生しやすい職種であるといえます。

「令和5年 労働災害発生状況」(厚生労働省労働基準局)によると、社会福祉施設での労災の発生件数(休業4日以上の死傷者数)は、令和5年が14,049人で、前年比9.9%の増加となっています。

労災事故の特徴

社会福祉施設での労災事故の類型としては、「動作の反動・無理な動作」、「転倒」という類型が目立ちます。

これは、介助作業が多いという業務の性質や、50才以上の女性労働者の割合が大きいという業界の特徴に起因するものと思われます。

典型的な労災の類型

腰痛

上記の厚生労働省の資料によると、社会福祉施設における労働災害のうち、最も大きな割合を占めたのは、「動作の反動・無理な動作」によるものであり、この中でも最も典型的なのは、介助作業中に腰に無理な力が加わることによって発生する「腰痛」です。

介護現場では、施設利用者を抱きかかえる時などに、「動作の反動や無理な動作」によって腰痛が引き起こされるケースが少なくありません。

そのほか、自分より体重の重い施設利用者を支えようとして倒れたり、利用者が転びそうになったところをとっさに助けようとして自らが犠牲になるケースも多いようです。

転倒

次に多いのが「転倒」による労働災害です。

階段や段差につまずいたり、濡れたフロアで靴が滑る等の原因が考えられます。また、職場が整理整頓されておらず、床の上にある物につまずく場合もあります。

人手不足もあってどうしても急いでしまい廊下を走って転倒する、両手に荷物を抱えたまま移動し足を踏み外すという事故も典型的です。

新型コロナウイルス感染症

新型コロナウイルスの感染拡大にともない、介護施設でも感染者のクラスターが発生し、多くの介護職員が感染しています。

厚生労働省では、感染経路が不明であっても、感染リスクが高い業務に従事し、それにより感染した蓋然性が強い場合には、労災認定をすることにしており、特に医師、看護師や介護職員については、業務外で感染したことが明らかな場合を除き、原則として労災認定をするという方針を打ち出しています。

利用者の方からの暴力・加害行為

高齢者施設や障がい者施設において、利用者の方から暴力を受けることもあります。

わざとではないにせよ、介助しようとする職員を振り払おうとして、職員を倒してしまうこともあり得ます。

利用者の中には、自宅で過ごしたいのに嫌々ながら施設に来たという方もいらっしゃるでしょうし、そうした方は、職員に対して、攻撃的な態度を取ることも理解しうるところではあるでしょう。

しかし、これも立派な労災です。

労災適用の有無

労災保険の要件

労災保険が適用されるためには、次の2つの要件を満たしている必要があります。

①業務が原因で発生していること(業務起因性)

②業務を行っているときに発生したこと(業務遂行性)

例えば、以下のケースが典型例です。

・入浴介助中に無理な体勢をとる形となり、腰などを痛めてしまった。

・施設内で転倒したり、階段を踏み外して怪我をした。

・利用者から暴力を受けて怪我をした。

労災保険での補償内容

以上の2つの要件が認められれば、療養給付(病院代等)、休業補償給付、後遺障害が残った場合の障害補償給付、万が一亡くなった場合には死亡補償給付が受けられます。

パートでも労災保険の対象です

会社や施設に雇われて働く介護労働者は全て労災保険の対象となります。

正社員に限らず、有期契約社員、パートタイマーや短期間のアルバイトであっても、労災保険の対象となります。

労災保険の手続

労災保険の手続は、それぞれの給付に必要となる申請書に、会社と医師の証明印をもらって、労働基準監督署長に提出します。

通常は、会社がその手続をしてくれます。

しかし、中には、労災保険の申請を渋る事業者もあります。次に説明いたします。

労災隠しにご用心

「この事故は労災には該当しないよ」と言って、従業員の労災申請を諦めさせようとする事業者もいるようです。

しかしながら、労災に該当するか否か(上記の業務起因性と業務遂行性の2つの要件が充足されているか否か)を判断するのは、労働基準監督署です。会社にその判断権限はありません。

したがって、「この事故は労災には該当しないよ」という言葉は絶対にウソであり、「労災隠し」なのです。

そして、「労災隠し」は犯罪行為であって、その言葉に付き合う必要は一切ありません。

「この事故は労災には該当しないよ」と言われたら、直ぐに弁護士にご相談ください。

会社の証明印がなくても、労働基準監督署は申請を受け付けてくれます。

会社に対する損害賠償

会社(施設事業者)は、労働者に対して、安全配慮義務を負います。労働者が安全に仕事に業務できるような環境を整備し運用する義務です。

会社がこの義務に違反して労災が発生した場合、被災労働者は、会社に対して、労災保険では給付されない慰謝料や、後遺障害の場合には、労災保険では補償しきれない逸失利益を請求することができます。

例えば、上記の事案で見てみましょう。

動作の反動・無理な動作による腰痛

繰り返すとおり、これが社会福祉施設で最も多い労災類型です。

となると、事業者は、このリスクを早期に認識しているはずであり、そのリスク回避の手段を検討し、実施していく必要があります。

逆に言えば、こうした検討や実施を全く行っていなければ、安全配慮義務違反と評価しうることになります。

厚生労働省が出している「職場における腰痛予防対策指針」も参考になります。

転倒事故

厚生労働省は、転倒防止対策のために、「4S活動(整理、整頓、清掃、清潔)」、「危険の見える化(転倒の危険がある場所を分かりやすく表示する)」、「すべりにくい靴(耐滑性の高い防滑靴)の着用」、「転倒予防体操の実施」の4つを呼びかけています。

こうした検討や実施を行っていなければ、安全配慮義務違反と評価しうる可能性があります。

施設利用者による暴力事故

この場合には、行為者本人に対する不法行為に基づく損害賠償請求が原則です。

もっとも、行為者に支払能力がなければ、損害の補填は不可能となってしまいます。その場合には、事業者に安全配慮義務違反がないかを検討する必要があります。

例えば、行為者はお酒を飲むと暴れることが度々あったにもかかわらず、職員間でその情報共有が徹底されていなかったとか、被災者一人で対応させたといった場合には、事業者に安全配慮義務違反が認められる可能性があります。

実際には、個々具体的な事情に応じて検討せざるを得ないので、まずは弁護士にご相談ください。

お一人で悩まずに、ぜひ弁護士にご相談ください

社会福祉事業という社会的に大きな意義のあるお仕事に従事されている方が、不運にもケガをされたにもかかわらず、適正な補償を受けられないという結果になると、将来、この職に就く人がいなくなります。

ご自身のためだけでなく、将来の社会福祉事業のためにも、適正な補償を受けてくださることを私は望みます。

労災に遭ってしまいお困りの方は、ぜひ一度、弁護士にご相談ください。

初回相談料は無料です。

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