労災の申請と認定
療養(補償)給付や休業(補償)給付などの労災保険の請求をするには、労働基準監督署宛てに必要書類を提出をする必要があります。
会社の総務部署が手続きを行う場合や、会社が社会保険労務士に頼んで作成してもらう場合もあります。
ただし、請求する主体(最終的に給付等を受ける者)は被災者であり、各申請書には、労災に遭われたご本人(死亡した場合はご遺族)の署名捺印が必要です。
1.療養(補償)給付の申請
「療養給付たる療養の給付請求書」を所轄の労働基準監督署に提出しますが、通常は、療養を受けている医療機関を経由してなされます。
なお、治療回数や入通院期間、治療内容等は、当該医療機関から労働基準監督署に発行されるレセプト(医療報酬の明細書)に記載されます。通常、被災者の方がこの書類を見ることはなく、労働局に対して保有個人情報公開請求をすることによってそのコピーを入手することができます。
2.休業(補償)給付
① 請求
「休業補償給付支給請求書」を所轄の労働基準監督署に提出します。
この書類で、傷病名や治療期間、休業期間がわかりますが、ここでは、「給付基礎日額」が重要な要素になりますので、「平均賃金算定内訳」等の書類を正しく記載することが重要です。
この給付基礎日額には、「未払い残業代も含まれる」と解されているので、未払い残業がある場合には弁護士に相談することをお勧めします。
② 結果の通知
請求が認められる場合は、支払決定通知と支払振込通知が、請求が認められない場合は、不支給決定通知が届きます。
3.障害(補償)給付
① 申請
「障害補償給付支給請求書」を所轄の労働基準監督署長宛て提出します。
この際、主治医作成の後遺障害診断書(及び添付資料)を添付します。
障害に見合った正しい等級認定を受けるために、この申請が大切ですので、この段階で弁護士に相談することをお勧めします。
② 面談
労働基準監督署の調査官または地方労災医員とよばれる医師と面談をします。ここでは、提出した後遺障害診断書等からだけでは判断できないことも質問されます。
③ 結果の通知
後遺障害が認定されると、支給決定通知と支払振込通知が、後遺障害が認定されなかった場合は、不支給決定通知が届きます。
4.遺族(補償)給付
ここでも、「2.休業(補償)給付」と同様に、「給付基礎日額」が重要な要素になります。