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公務員の場合はどうなりますか?【弁護士が解説】
福崎 真也
依頼者の皆様にとって最善の解決に至るため、当事務所は、これまで培ってきた他事務所の弁護士や他士業の方々との幅広いネットワークを有効活用し、ベストを尽くします!

公務員の場合はどうなりますか?【弁護士が解説】

A.常勤の地方公務員は、地方公務員災害補償法(地公災法)に基づきます。

非常勤職員の地方公務員は、地方公営企業等の現業の場合は、民間労働者と同じく労災保険法に、非現業の場合は、各地方公共団体が定める補償条例に基づきます。

以下、地公災法について説明します。

要件

地公災法が対象とする公務上の災害(公務災害)と認定されるためには、「公務遂行性」および「公務起因性」の2つの要件が必要となります。各要件は、労災保険での「業務遂行性」と「業務起因性」と同様に考えることができます。
地公災法が対象とする通勤災害も、労災保険での通勤災害と同様に考えることができます。

補償内容

地公災制度における補償には、①療養補償(地公災法27条)、②体業補償(同28条)、③傷病補償年金(同28条の2 )、④傷害補償(年金、一時金) (同29条)、⑤介護補償(同30条)、⑥遺族補償(年金、一時金) (同31条~ 41の2条)、⑦葬祭補償(同42条)、⑧障害補償年金差額一時金(同附則5条の2 )、⑨障害補償年金前払一時金(同附則5条の3 )、⑩遺族補償年金前払一時金(同附則6条)があります。

申請手続

地公災法に基づく補償の申請は、被災公務員(または遺族)から地方公務員災害補償基金支部長に対して、公務災害認定請求書を提出することにより行います。
任命権者(地方公共団体の長、道府県警察本部長、消防長など)を経由して提出することになりますが、請求人側も独自に必要な資料を提出すべきです。

不服申立

地方公務員災害補償基金支部長の決定に不服がある場合には、3カ月以内に、地方公務員災害補償基金各県支部審査会に対して、審査請求
支部審査会の裁決に不服がある場合、1カ月以内に、地方公務員災害補償基金審査会に対して、再審査請求
なお不服がある場合、6カ月以内に、地方公務員災害補償基金を被告として、基金本部または支部長の所在地を管轄する地方裁判所に取消しの訴え

A.国家公務員の場合は、国家公務員災害補償法(国公災法)に基づきます。

国公災法は、民間労働者に対する労災法、地方公務員に対する地公災法に対応するものであり、同様の補償制度が確立されています。

ここでは、地公災法との相違点を説明します。

適用対象

国公災法は、一般職に属する公務員に適用され、非常勤職員も含まれます。
なお、特別職の国家公務員(裁判官、自衛官など)の公務災害については、国公災法とは別の法令に基づき、国公災法と同水準の補償が行われています。

手続

地公災法が「請求主義」であるのに対し、国公災法は「職権探知主義」をとっています。
被災職員または遺族等から災害発生の申出があった場合、または補償事務主任者(あらかじめ実施機関の長が指名しています)が災害発生を探知した場合、補償事務主任者が、被災職員の所属に応じて、実施機関(財務省・外務省・警察庁・国税庁・などの各省庁、国立公文書館・国立印刷局などの独立行政法人、日本郵政株式会社)に災害発生の報告を行います。
報告を受けた実施機関は、公務災害にあたるかどうかの認定を速やかに行い、被災職員または遺族等にその通知をします。公務災害と認定された場合には、被災職員または遺族等が補償を請求することになります。

不服申立

補償については、人事院に対し審査の申立てができます。特に期限の定めはありません。
人事院の判定に不服がある場合には、地方裁判所へ行政訴訟を提起することができます。
なお、福祉事業については審査申立ての対象とはなりませんが、別途、人事院に対し、措置の申立てをすることができます。

A.地方公務員・国家公務員とも、地方公共団体・国に過失がある場合には、民事上の損害賠償請求をすることができます。

民間労働者の場合で事業者に過失があるときに労災保険以外に事業者に損害賠償請求ができるのと同様、地方公共団体・国に過失があるときは、地公災・国公災による補償以外に、安全配慮義務違反による債務不履行に基づく損害賠償、不法行為に基づく損害賠償をすることができます。